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2025年7月18日

2025年通常国会で成立した労働に関する分野の法律

2025年通常国会で労働に関する分野において主に3つの法律が可決成立しました。以下、実務に関連する部分を重点的にその概要をお伝え致します。

 

社会保障分野

▼被用者保険の適用拡大(現51人以上、8.8万円/月)

  • 企業規模要件を令和9年10月1日から令和17年10月1日までの間で段階的に撤廃

(令和9年10月1日施行)

  • 短時間労働者の適用要件のうち、賃金要件を撤廃(公布から3年以内に施行)
  • 適用拡大に伴い、労使折半を超えて事業主保険料を負担した場合に制度的に支援

(令和8年10月1日施行)

▼在職老齢年金の支給停止開始となる収入基準額を51万円から62万円に引き上げ

(令和8年4月1日施行)

▼厚生年金保険の標準報酬月額の最高等級を65万円から段階的に75万円へ引き上げるとともに、最高等級の者が全体に占める割合に基づき改定が出来るルールの導入。

(68万円→令和9年9月1日、71万円→令和10年9月1日、75万円→令和11年9月1日)

▼その他、遺族年金制度の見直し、私的年金制度の見直し(iDeCo加入年齢の上限を70歳未満に引き上げ:公布から3年以内に施行)、配偶者加給年金の見直し、外国人の脱退一時金の要件の見直しなど

 

就業環境整備

▼ハラスメント対策の強化としてセクハラ、カスハラにおける事業主に対する雇用管理上必要な措置の義務化、国・事業主・従業員の責務を明確化し指針を定める。

(公布日から1年6か月以内に施行)

▼女性活躍の推進

  • 女性活躍推進法の有効期限を令和18年3月31日まで延長(公布日に施行)
  • 女性の活躍に関する「情報公表」の項目のうち、常時雇用する労働者が101人以上の企業は男女間賃金差異及び女性管理職比率の公表を義務化(女性管理職比率は現在選択項目)(令和8年4月1日施行)
  • 女性活躍の推進は女性の健康上の特性に配慮して行われるべき旨の基本方針を明確化

(公布日に施行)

▼事業主に対し、仕事と治療の両立支援を促進するために講じる措置を努力義務化

(令和8年4月1日施行)

 

安全衛生、作業環境

▼ストレスチェックを労働者数50人未満の事業場についても義務化

(公布後3年以内に施行)

▼労働者だけでなく、個人事業者等に対し業務上災害にて4日以上の休業に対し報告を求める制度の制定。報告主体は個人事業者等の他、直近上位の注文者、災害発生場所を管理する事業者、個人事業者等が中小企業主等の場合は所属企業などが状況に応じ労基署へ遅滞なく報告する。(令和9年1月1日施行)

▼高齢者の労働災害防止措置を努力義務化(令和8年4月1日施行)

▼その他、化学物質による健康障害防止等の推進、機械等による労働災害防止の促進等

(令和8年1月1日から順次)

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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