HuApp MEDIA HR業界のお役立ち情報を発信中 社会保険の扶養の収入要件等について
2025年8月8日
社会保険の扶養の収入要件等について
今回は社会保険の扶養の収入要件等について説明致します。
社会保険扶養の収入要件として、⒈原則の要件と⒉被扶養者が60歳以上のもの又は障害者である場合とで要件が違いますので、順を追って説明いたします。
【1.原則の要件】
①被扶養者の年間収入が130万円未満であって、かつ、②被保険者の年間収入の2分の1未満である場合、被扶養者に該当し認定を受けられます。仮に被扶養者の年間収入が130万円未満であってかつ、被保険者の年間収入が2分の1以上になってしまったとしても被保険者の年間収入を上回らない場合には、世帯の生計の状況を総合的に勘案して、被保険者がその世帯の生計維持の中心的役割を果たしている時は、被扶養者に該当するものとして認定を受けられる場合があります。
【2.被扶養者が60歳以上のもの又は障害者である場合】
被扶養者が60歳以上のものである場合、又はおおむね厚生年金保険の障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合、⒈の年間収入要件が130万円未満から180万円未満と金額が上げられます。これは、年金受給により年収が上がることにより被扶養者から外れないよう年収基準が引き上げられています。
また、この上記2点に共通する被扶養者の収入の確認にあたり、いつからの収入を見るのかというと、被保険者の過去の収入、現時点の収入又は将来の収入の見込みなどから今後1年間の収入を見込むものとされています。
1つ例をあげると今年の6月まで年収500万円の社会人が7月から無職で勤務先も決まっていない為、社会保険の扶養に加入したいと希望があったとします。この場合、7月から無職となり、収入の見込みも加入日時点ではありませんので、収入は0円で社会保険扶養の収入要件に該当することになります。ただし、雇用保険の基本手当(失業給付)を受けられる場合、収入と扱われます。その為、基本手当の日額×360が基準額130万円を超える場合、認定は受けられませんのでご注意下さい。
社会保険扶養の金額とよく混同される金額として税法上扶養の金額103万円がありますが、社会保険の扶養と税法上の扶養は全く違います。
税法上の扶養の場合、令和7年1月から12月まで1年の収入で基準額を超えてしまうと扶養には該当しなくなります。その為、今回のケースであると令和7年1月から6月までの収入がざっくり250万円となる為、該当しません。この基準についても混同しやすいところになりますので、ご注意下さい。
前述した税法上扶養の金額103万円の金額が引き上げられると国税庁より発表されました。
この税法上の改正に伴い、社会保険の扶養で19歳以上23歳未満の被扶養者に係る認定基準が見直されました。主な内容として、認定対象者の年間収入に係る認定要件のうち、その額を130万円とするものについて、当該認定対象者(被保険者の配偶者は除く)が19歳以上23歳未満である場合であっては150万未満として取り扱うこととなります。
この取扱いについては令和7年10月1日から適用となります。
社会保険の扶養異動届を上記の要件を満たして申請するにあたり、被扶養者が被保険者と同一世帯に属していない場合は、仕送りの事実と仕送り額が確認出来る書類が必要となり、振込の場合は「預金通帳等の写し」、送金の場合は「現金書留の控え(写し)」が必要となります。例外として、16歳未満または16歳以上の学生の場合はこの添付書類が不要となります。その為、同居しているのか、または別居しているのか。別居しているのは16歳未満または16歳以上の学生なのか、というところも扶養異動届を提出するにあたり、必要な情報となりますので、お忘れないようお願い致します。
今回は社会保険の扶養の収入要件等について説明致しました。
余談となりますが、令和6年12月2日から健康保険証が発行されなくなり、令和7年12月1日で使用が出来なくなります。その為、医療機関への受診をする際は、健康保険証を利用登録したマイナンバーカード(マイナ保険証)の登録または資格確認書が必要です。令和7年4月30日時点で社会保険に加入していてマイナ保険証の登録をされていない方は、本人の申請によらず令和7年12月1日までに資格確認書が郵送されます。
その為、新規の社会保険加入者につきましては、マイナ保険証の登録をされているかの確認をし、登録がされていない方については、資格取得届の提出する際に資格確認書の発行にチェックをし申請する必要があります。
健康保険組合等については、異なる取扱いをされる場合もございます。その為、健康保険組合等にご加入している方につきましては、詳細について一度ご確認下さい。

社会保険労務士法人ユアサイド
綿引 文生(わたびき ふみお)
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。