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2025年8月22日
両立支援等助成金
両立支援等助成金は、仕事と育児・介護等を両立できる職場づくりに取り組む中小事業主に対し、その取組を促進し、労働者の雇用安定を図ることを目的として支給されます。現在、6つのコースが用意されています。「育児休業等支援コース」は、事業主が比較的取組みやすいコースとなっています。
【育児休業等支援コース】
実際に育児休業を取得した場合に助成するものです。育児休業の取得に当たり「育休復帰支援プラン」の作成等を通じた円滑な育児休業の取得、職場復帰を支援する取り組みを行う必要があります。女性・男性問わず申請が可能です。申請人数は、有期・無期雇用労働者の各1名の合計2回となっており、雇用保険被保険者であることが対象要件となります。
●申請の流れと支給額
申請は「育休取得時」「職場復帰時」の2回、支給額はそれぞれ30万円の合計60万円です。
~育休取得時 ポイント~
①「育休復帰支援プラン」による支援措置を行うことの周知
・プランそのものではなく、プランによる支援措置の実施方針の周知が必要であるため、周知方法としては就業規則や社内報などで明文化されている必要があります。
②「育休復帰支援プラン」の作成
・上司または労務担当者が育児休業取得予定者との面談を行い、「面談シート」を活用して業務の引き継ぎや「育休復帰支援プラン」を作成し、プランに基づいて育児休業の取得・復帰の支援を行います。
③育児休業(3か月以上)の取得
・対象労働者が連続3か月以上の育児休業を取得していること、産後休業から引き続いて育児休業を取得する場合は、産後休業を含めて3か月以上となっていれば、支給対象となります。
★支給申請「育休取得時」(支給額30万円)
・産後休業から連続して育児休業を取得している場合には、産後休業開始後(出産日の翌日)から3か月経過する日の翌日から2か月以内に申請を行います。
~職場復帰時 ポイント~
①「育休取得時」の助成金を受給している同一の育児休業取得者が対象です。
②育児休業中の情報・資料提供の実施
・職場復帰を円滑にするためのもので、原職または復帰後の職務に関する情報を郵送や電子メールなどで提供する必要があります。
③職場復帰にむけて面談の実施
・職場復帰前に、上司または労務担当者は、育児休業取得者と復職後の働き方について面談を行い、面談結果を記録します。
・原則、職場復帰するにあたっては、原職等への職場復帰であることが必要です。ただし、無期雇用労働者が休業後、有期雇用として新たに雇用契約を締結している場合は対象外となります。
★支給申請「職場復帰」(支給額30万円)
・職場復帰した日から6か月継続雇用している場合に申請が可能となり、育児休業終了日の翌日(=職場復帰日)から6か月を経過する日の翌日から2か月以内に申請を行います。
★その他、事業主が行うタスクについて
・支給申請日までに「一般事業主行動計画」の作成と届出・公表・周知が必要です。
●育児休業に関連したコース
・「出生時両立支援コース」
男性労働者の育児休業取得促進を目的としており、申請には2つの種別が用意されています。第1種では男性労働者が育休を取得した場合、第2種では男性の育休取得率の上昇等の要件を満たした場合に、各々申請が可能です。なお、第1種の対象となった同一の育児休業取得者の同一の育児休業について、「育児休業等支援コース」との併用はできませんのでご注意ください。
・「育休中等業務代替支援コース」
育児休業取得者や復帰後の短時間勤務者の代わりに業務を行う労働者を配置することを主な要件とするコース。申請には3つの種別(①手当支給等等(育児休業)、②手当支給等(短時間勤務)、③新規雇用(育児休業))が用意されています。なお、①②については、代替業務の見直し・効率化の取組みの実施、業務を代替する労働者への手当制度等を就業規則等に規定しておくことが必要です。
・「柔軟な働き方選択制度等支援コース」
令和7年10月からの育児介護休業法の改定により「柔軟な働き方を実現するための措置」が義務づけられます。助成金は、法を上回る制度を設け、一定基準以上の利用実績等がある場合が対象です。利用実績が出そうであれば、この機会に就業規則の見直しと併せてご検討されてみてはいかがでしょうか。
国は、低水準な男性育休の取得率の向上、育児期の男女ともに希望するキャリア形成との両立を可能とする仕組みのひとつとして、本助成金を設定しています。中小事業主が取組みやすいものもありますので、両立支援等助成金の利用を検討してもよいかもしれません。

社会保険労務士法人ユアサイド
綿引 文生(わたびき ふみお)
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。