HuApp MEDIA HR業界のお役立ち情報を発信中 考えずにテレワークを始めた結果…
2020年5月14日
考えずにテレワークを始めた結果…
新型コロナウィルスの影響でテレワークを導入する企業が増えています。
テレワークは「コロナウィルスの感染リスクが下がる」「通勤時間がなくなり、自由な時間が増える」「育児や介護と両立しやすい」
などの様々なメリットがあります。一方で就業環境が変わるため特有のリスクも存在します。
①労働時間の管理方法を決めていないと…
時間外労働を行う場合のルールを決めていないと、「部下が勝手に深夜まで仕事していた!」ということが起こります。
例えば、従業員が「仕事をしていたら気持ちが入り、気づいたら22時を過ぎてました」ということが起こった場合、
深夜の割増賃金まで支払うことになり、想定外の人件費がかかります。
テレワークであっても、時間外労働をさせる場合は部下が上司に許可をとらせください。
部下が裁量で時間外労働できる状態は避けましょう。
ポイント:時間外労働を行う場合のルールを決めましょう。
②情報の管理方法を決めていないと…
テレワークをする場合、会社から機密情報を持ち出すことになります。
普段と異なり他人の目がなくなるため、情報管理に対する意識が低下する可能性があります。
テレワークを開始する前に、情報管理に対する教育をしておかないと、
「うっかり情報を漏洩させてしまった」という事態になります。
最悪の場合、会社の機密情報を転売されてしまう可能性もあるので、どの情報を誰が持ち出せるのか決めておきましょう。
一般的には役職者が高くなればなるほど、持ち出せる情報の範囲が広がるはずです。
ポイント:情報の管理方法(教育も含む)を決めましょう。
③光熱費の負担を決めていないと…
原則として業務にかかる費用は会社負担とするべきです。テレワーク導入に伴い、在宅勤務をする場合、自宅の滞在時間が増えます。
このため光熱費の負担が増えることになります。自宅の光熱費増加分は、必ずしも会社が負担すべきものではありません。
ですが、テレワークが長期化する場合、エアコン代等はそれなりの金額になるため、従業員から「光熱費増加分を支払ってほしい」
というクレームが出る可能性があります。そのように言われないために光熱費の増加分を誰が負担するのか
在宅勤務開始前に決めておきましょう。
ポイント:光熱費の負担者を決めましょう。
④出社命令を定めていないと…
テレワークの大きな問題はずばり「サボり」です。普段の職場と違い、上司や同僚の目がなくなるため、
サボりやすい環境と言えます。万が一「この従業員はサボってる」と疑われる場合、
テレワークから通常勤務に戻せるようにしておきましょう。
具体的には就業規則やテレワーク規程に会社に出社命令があるという規定を盛り込みます。
~規定例~
(出社命令)
第◯条 会社は、業務上の必要が生じた場合は、テレワーク勤務者に出社を命ずることがある。
ポイント:「サボり」対策を就業規則に盛り込んでおきましょう。
テレワークは生産性向上&公正な評価のチャンス
ここまでテレワークの悪い部分やリスク面を中心にお伝えしてきましたが
テレワークには良い部分も多くあります。
(1)生産性の向上
テレワークの環境だと電話応対など仕事を中断する要素が減りやすいでしょう。このため仕事に集中しやすい環境と言えます。
企画書作成など集中力を要する業務はテレワークと相性がいいと言えます。現在テレワークを実施している企業は、
新型コロナウィルスの影響でやむを得ずというケースも多いと思います。ウィルスが終息したあとも「週1日は必ずテレワークする」
というルールを作り、そのテレワーク実施日に集中力を要する業務を一気に行うことで、企業の生産性を高められます。
(2)公正な評価
テレワークをしていると、上司は部下が働いている様子を直接見ることができません。
このため、見た目の印象などに影響されにくいという特徴があります。
業務報告など成果だけで評価することになるため、考え方によっては公正な評価がされやすいという考え方もあります。
会社の生産性を上げるためには、まず従業員がどのような業務を行っているのか分析することが第一ですが、
なかなかそのような分析に踏み切れない企業が多いようです。テレワークの導入を生産性向上の第一歩とする方法が考えられます。
社会保険労務士法人ユアサイド
吉田 優一(よしだ ゆういち)
平成24年社会保険労務士試験合格。平成25年社会保険労務士法人ユアサイドに入社後、製造系、事務系などの様々な業種の派遣会社の許可申請、更新および労務相談を担当。