HuApp MEDIA HR業界のお役立ち情報を発信中 令和3年4月1日から、常時雇用する労働者が301人以上の企業において、正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化

2021年5月31日

令和3年4月1日から、常時雇用する労働者が301人以上の企業において、正規雇用労働者の中途採用比率の公表が義務化

 

労働者の主体的なキャリア形成による職業生活のさらなる充実や再チャレンジが可能となるよう、中途採用に関する環境設備を推進することを目的として、令和3年4月1日から、常時雇用する労働者(※1)が301人以上の企業において、労働施策総合推進法に基づき「直近の3事業年度の各年度について、採用した正規雇用労働者(※2)の中途採用(※3)比率」の公表が義務化されます。

今回はその概要と公表方法について確認していきます。

 

(※1)「常時雇用する労働者」とは、雇用契約の形態を問わず①期間の定めなく雇用されている者、②過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者又は雇い入れから1年以上引き続き雇用されると見込まれるもの、のいずれかを満たす労働者を指す。(学生を除く)

(※2)「正規雇用労働者」とは、短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管の改善に関する法律(平成5年法律第76号)第2条における「通常の労働者」を指す。基本的には「いわゆる正規型の労働者」を指し、社会通念に従い、雇用形態、賃金体系等を総合的に勘案して判断するものとする。

(※3)「中途採用」とは「新規学卒等採用者以外」の雇入れを指す。

 

1.直近の3事業年度の考え方

 

「直近の3事業年度」とは、事業年度における正規雇用労働者の採用活動が終了し、正規雇用による中途採用者の状況を「見える化」することができる状態となった、最新の事業年度を含めた3事業年度を指します。

例)4月1日~3月31日が事業年度の企業が2020年の採用活動を終了し、正規雇用労働者の比率が公表できるようになり、2021年9月30日に公表を行う場合。

2.正規雇用労働者の中途採用比率の計算方法

 

(その年度の) 中途採用者数 / 正規雇用労働者数 × 100 = 公表する中途採用比率(%)

小数点以下第一位を四捨五入

 

3.中途採用比率における対象労働者の範囲

 

対象労働者の範囲については、公表対象年度の終了時点や公表時点における状況により取り扱いが異なるため、注意が必要です。

 

 中途採用比率の計算に含める  中途採用比率の計算に含めない
◎対象年度の終了時点において試用期間中である者…対象年度の終了時点において正規雇用労働者として雇用が開始されていれば計算に含める。

◎対象年度に採用したが、公表時点ではすでに退職している者…対象年度内に実際に採用を行い、勤務を開始したものについては公表時点で退職済みであっても計算に含める。

◎副業、兼業を行っている場合…副業、兼業を行っている場合でも、それぞれの事業主において正規雇用労働者として中途採用されている場合は計算に含める。

正社員転換を行った場合…転換を行った事業年度に含める。

■対象年度の終了時点における「内定者」…「対象年度の終了時点において雇用が開始されていた者」のみを中途採用比率の計算に含め、内定者は含めない。

新規学卒者又はこれに準ずるもの…既卒者であって、新規学卒者と同じ採用枠で採用した者等は含めない。

定年後再雇用者

 

 

4.公表の方法等

 

公表はおおむね年に1回、公表した日を明らかにして、直近の3事業年度について、インターネットの利用その他の方法により、求職者等が容易に閲覧できるように行わなければなりません。「インターネットの利用やその他の方法」の「インターネット」とは、原則として自社のHPの利用等を指しますが、厚生労働省がインターネット上に開設する「職場情報総合サイト「しょくばらぼ」」の利用も含まれます。「その他の方法」とは事業所への掲示や書類の備え付け等による方法を指します。

初回の公表は、法施行(令和3年4月1日)後の最初の事業年度内に、可能な限り速やかに行うこととされており、2度目以降については前回の公表からおおむね1年以内に、速やかに公表を行うこととされています。

なお、今回義務化されることによる都道府県労働局等への提出書類等への記載は特に求められておらず、中途採用比率公表の義務違反に対する罰則規定についても現時点では設けられていません。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

工藤 あさみ(くどう あさみ)

早稲田大学 第二文学部卒業後、平成27年社会保険労務士法人ユアサイド入職。平成29年社労士試験合格、登録。派遣会社での労務管理経験を活かし、労務相談等を行う。「親しみのある社労士」を目指して日々邁進中。

記事一覧へ