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2021年10月18日

過労死等防止啓発月間の取り組みと対策

厚生労働省では、毎年11月を「過労死等防止啓発月間」と定められており、過労死をなくすためのシンポジウムやキャンペーンなどの取り組みを行なっております。「過労死等」とは、業務における過重な負荷による脳血管疾患又は心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡又はこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害をいいます。

過労死等防止啓発月間の一取り組みとして行われる「過重労働解消キャンペーン(※)」の最新の実施結果は以下のとおりです。

(※長時間労働の是正や賃金不払残業などの解消に向けた重点的な監督指導)

 

監督指導の実施事業場:9,120

違反内容 事業場数 割合(%)
違法な時間外労働があったもの 2,807 30.8
賃金不払残業があったもの 478 5.2
過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの 1,829 20.1
過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの 3,046 33.4
労働時間の把握方法が不適正なため指導したもの 1,528 16.8

 

1,528事業場に対し労働時間の把握が不適切なため、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に適合するよう指導が行われています。

 

ガイドライン内にて一番指導の多かった事項は「始業・終業時刻の確認・記録」であり、労働時間を把握するための大前提のことができていないとして、指導が行われています。労働時間の管理が不十分ですと、長時間労働はおろか、過労死ラインと言われている発症直前1か月の残業時間の100時間超えにすら気づくことができませんし、時間外労働の事実にすら気づかず、賃金不払い残業に繋がる可能性も高まります。そのため、労働時間の適正な把握をすることは基礎的な問題として挙げられます。

では、その具体的な対応策として、勤怠シートにて従業員一人一人に出勤時刻・退勤時刻を記入してもらい、管理者がそのデータをまとめるという方法も考えられます。しかし大幅な人件費や時間と手間がかかってしまいます。そのため、勤怠のデジタル化の導入を検討し、従業員と管理者双方にとって時間とコストをかけずに労働時間の把握を行うことで早期に問題解決をすることができます。派遣会社の場合ですと派遣社員は常に指揮命令下にいるわけではないので、このようなデジタル化の導入によってより高い信用を得ることができるはずです。

社会保険労務士法人ユアサイド

工藤 あさみ(くどう あさみ)

早稲田大学 第二文学部卒業後、平成27年社会保険労務士法人ユアサイド入職。平成29年社労士試験合格、登録。派遣会社での労務管理経験を活かし、労務相談等を行う。「親しみのある社労士」を目指して日々邁進中。

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