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2022年9月29日

女性活躍推進法の改正

本年4月1日施行の職業安定法改正により、常時雇用301人以上規模企業の義務であった(1)一般事業主行動計画策定・届出 (2)女性活躍に関する情報公表 が、101人以上規模の企業にも義務化されています。対応はお済みでしょうか?
今回は、同改正により7月8日施行となりました(2)女性活躍に関する情報公表の項目追加について確認します。改正の対象となるのは、常時301人以上規模の企業さまです。

労働者301人以上規模の企業については、改正前より下記2つの区分に定められた項目からそれぞれ1項目以上の情報公開が義務付けられていました(101人以上規模の場合は、①②の区分にかかわりなくどれか1項目以上)。

  • 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績(8項目)
  • 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績(7項目)

今回の改正により、上記①区分の8項目に「男女の賃金の差異」が新しく加えられることとなり、公表の必須項目となりました。これにより①区分から選択した1項目以上+男女の賃金の差異 ②区分から1項目以上として、少なくとも3項目の公表が求められることとなります。

では、男女の賃金の差異とは、具体的に何を、どのように表すのでしょうか。

まず、賃金額は雇用形態により大きく異なるため、全労働者、無期フルタイム(正規雇用)、無期フルタイム以外(非正規雇用)の3区分で公表する必要があります。より詳細な区分で公表しても差し支えありません。派遣社員は派遣元会社において集計し、派遣先の集計からは除外します。

計算手順は下記のとおりです、最終的に(4)の男女比率を賃金の差異として公表します。

  • 正規・非正規の一事業年度における男女別総賃金額(※1)を算出
  • 正規・非正規の男女別人数(※2)を算出
  • 正規・非正規の男女別平均年間賃額を算出 ⇒(1)÷(2)
  • 全体・正規・非正規の男女比率を算出 ⇒ 女性の(3)÷男性の(3)

※1:基本給だけでなく、各種手当や時間外割増賃金、賞与を含みます。退職手当、通勤手当等実費弁済とされるものは除外することができます。

※2:人数の算出方法について規定はありませんが、(1)の賃金額から平均額を算出するのに妥当性のある計上とすることが求められます。各月の特定日(給与支払日、締切日、月末日等)の12ヶ月平均等、適正な人数計上ルールを定め、恣意的な人数算出とならない方法とする必要があります。この際、人数と勤務時間による賃金比例を考え、半日勤務のパートタイマーを0.5人として扱うこと等は差し支えありません。

情報公開の目的趣旨は、求職者等に対して比較可能な企業情報を提供し、就業の選択において企業の女性活躍に対する取組や姿勢を理解してもらうことにあります。賃金の差について特段の事由がある場合には説明欄においてその事由につき追加の記載、詳細・補足的な情報を公表し、有用な情報とすることが望まれます。

 

 

 



  

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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