HuApp MEDIA HR業界のお役立ち情報を発信中 派遣労働者のストレスチェックに関するQ&A

派遣労働者のストレスチェックに関するQ&A

派遣労働者のストレスチェックにおける疑問点のQ&Aをまとめました。派遣元・派遣先それぞれどのような対応が必要なのでしょうか。

 

Q1  ストレスチェックにおける「集団対応」については、実際に派遣労働者が働く職場を管理する派遣先が実施する(努力義務)とありますが、その際の注意点は何があるでしょうか。

A1 集団対応における分析の際には、職場環境がある程度同一でないと行なうことができません。従って、分析の対象者に自社の労働者だけでなく派遣労働者を含めた集団で行なう必要があります。その集団分析結果に基づき、改善策や対応策を派遣労働者にも周知する必要があります。

 

Q2 派遣労働者のストレスチェック結果が高ストレスで医師の面接指導が必要と判断されたにも関わらず、本人の申し出が無い場合、派遣元事業者はどう対応すればよいでしょうか。

A2  労働契約法では、安全配慮義務について「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする」とされていますが、この場合派遣労働者の同意がないため事業者は把握することができません。しかし、派遣労働者のストレスの状態やメンタルヘルス上の問題の把握は、例えば定期面談や労働時間の管理を定期的に行う等、ストレスチェック以外の機会でも労働者のメンタルを把握できる場合も考えられますので、ストレスチェック結果が把握できないからといって、メンタルヘルスに関する企業の安全配慮義務が一切なくなるということはありません。万が一訴えられてしまった場合には高額な損害賠償責任が問われる可能性があります。従って、社内ルールを策定し対応を考えていく必要があります。

 

Q3 医師による面接指導を行なった派遣労働者に対する就業上の措置について、どう対応していくのが最善でしょうか。

A3 派遣先、派遣元のどちらかが一方的に対応することは困難であるため、双方が協力して措置を講ずる必要があります。具体的には、就業場所・派遣先の変更、労働時間の短縮等労働条件の変更等挙げられます。しかし、それでも状態が改善しない場合には、休職を提案し、その間に傷病手当金を受給(※)してメンタルの回復に努めてもらうといった方法も考えられます。いずれの場合においても派遣元を中心に派遣労働者と話し合いをし、最善策を導き出す必要があります。

(※)受給には一定の要件があります。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

記事一覧へ