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2024年3月26日

裁量労働制について

2024年4月1日以降、「裁量労働制」に関する制度の改正が行われました。

 

【裁量労働制とは】

業務の性質上、そのやり方を大幅に従業員の裁量に委ねる必要のある職種において、実際の労働時間に関わらず労使協定や労使委員会にて定めた時間を労働したものとみなして賃金を支払う制度になります。また、裁量労働制には、「専門業務型裁量労働制」と「企画業務型裁量労働制」の2種類があります。

 

今回はより使用されることが多いことと派遣労働者には企画業務型裁量労働制の適用が出来ないことを踏まえて「専門業務型裁量労働制」の内容についてご紹介します。

 

【専門業務型裁量労働制とは】

業務の性質上、労働者の裁量に委ねる必要がある業務で使用者が具体的な指示をすることが困難なものとして定められた20の業務より、対象となる業務等を労使協定で定めます。

そして労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使協定であらかじめ定めた時間労働したものとみなす制度です。

 

2024年4月より新たに又は継続して裁量労働制を導入するにあたり、導入する全ての事業場で必ず「専門業務型裁量労働制」の労使協定に「本人の同意を得る・同意を撤回する手続き」の追加が必須となりました。裁量労働制を導入・適用するまで(継続導入する事業場では2024年3月末まで)に労働基準監督署に協定の届出を行う必要があります。

 

協定の作成にあたり、本人同意に関して以下の3つの事項について定める必要があります。

 

  • 労働者本人の同意を得なければならないこと
  • 同意をしなかった場合に不利益な取り扱いをしてはならないこと
  • 同意の撤回に関する手続

(申出先の部署及び担当者、撤回の申出の方法等を明らかにすることが必要。)

 

労働者の同意の取得方法は、書面で行うことが適切とされています。また、トラブル防止の観点から「協定内容等の制度概要、賃金・評価制度の内容、同意しなかった場合の配置・処遇について明示し説明の上、本人の同意を得ること」が適当とされています。本人の同意を得るにあたり、使用者は、苦情の申出先、申出方法等を書面で明示する等、苦情処理措置の具体的内容を適用労働者に説明することもあわせて行いましょう。

 

近年では、多様な働き方が求められる時代になってきており、今回説明しました「裁量労働制」に関しても柔軟な働き方ができることにより、従業員からするとモチベーションの向上が期待できたり、会社からすると残業代を抑えることができたりと、双方に対しメリットもあればデメリットもあります。

それを勘案した上で、「裁量労働制」という働き方も選択肢の一つとして検討してみてはいかがでしょうか。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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