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派遣労働者に正しく説明できていますか

労働者派遣法第31条の2において、派遣労働者の待遇に関する事業主の説明義務が規定されています。主に、雇入れたとき、派遣労働者から求めがあったときに説明を行うこととなっていますが、今回は、派遣労働者から求めがあった際に派遣元が講じなくてはならない事項について確認していきます。

求めがあった場合の派遣元が行う説明の方法として、待遇に関する事項等の書類を用いながらでの口頭説明でも可能となっておりますが、書類を作成し、交付する手段もあります。どのように説明したら良いのか以下、資料の参考例を載せますので、実態に即して作成していきましょう。

 

例①基本給の相違(決定方法)において説明を求められたとき

〈内容〉
派遣労働者は時給1,300円であるのに対し、通常の労働者は時給換算にて1,500円である。
〈理由〉
(派遣先均等・均衡方式の場合)
・通常の労働者には緊急時においての残業が発生しているのに対し、派遣労働者は残業が無いため。また、通常の労働者は全国転勤があるのに対し派遣労働者は転勤が無いため。
・通常の労働者は現在の業務に就いて10年経っているのに対し、派遣労働者は未経験での就労のため。
(労使協定方式の場合)
・同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金水準を採用しており、平均的な賃金は1,280円であるため。※それに付随する資料の提示も可

 

例②福利厚生(慶弔休暇の日数)において説明を求められたとき

〈内容〉
派遣労働者の慶弔休暇の付与日数は1日であるのに対し、通常の労働者は3日付与される。
〈理由〉
通常の労働者は週に5日(月曜日~金曜日)の就労であるのに対し、派遣労働者は週2日の契約を結んでいる。週2日の契約のため、休暇が取りやすい環境にあるので通常の労働者と同一の対応をとる必要性はなく、合理的である。

この他にも、さまざまな事例があるかと思いますが、「派遣労働者だから」といった説明では義務を果たしてはいません。なお、あくまでも説明の義務であるため派遣労働者が納得するまで説明することまで求めているものでもありません。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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