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2025年3月11日

2025年4月より育児休業給付金支給対象期間「延長」の手続きが変更されます

これまで、育児休業給付金の支給対象期間「延長」手続きについては、保育所等に利用申込をしたものの、定員等により入所ができない場合には、市区町村より発行される「入所保留通知書」等を添付のうえ、育児休業給付金申請の際に延長申請することにより、1歳から1歳6か月まで(または1歳6か月から2歳まで)に間について、引き続き育児休業給付金の申請が可能となっていました。

2025年4月より、育児休業給付金の支給対象期間「延長」を行う場合の要件が追加されたことにより、入所保留通知書等のほかに以下の書類の提出が必要です。

 

【追加される書類】

  1. 育児休業給付金支給対象期間延長事由認定申告書
  2. 市区町村に保育所等の利用申込みを行ったときの申込書の写し(入所申込書)

 

【追加された延長要件】

次の1と2の要件を満たすこと。

  1. 申込んだ保育所等が合理的な理由なく、自宅から片道30分以上要する保育所等のみとなっていないこと。
  2. 市区町村に対する保育利用の申込みにあたり、入所保留となることを希望する旨の意思表示(「保育園への入所を希望していない」、「育児休業延長を希望する」等)をしていないこと。

 

【追加された延長要件に関する留意事項】

上記1の要件については、合理的な理由として認められるのは、「自宅から30分以内に通うことができる保育所等がない場合」等が該当します。

また、上記2の要件について「希望する保育所等に入所できない場合は、育児休業の延長も許容できる」等の表現は、入所保留となることを希望する旨の意思表示には当たらないと労働政策審議会職業安定分科会において示されていることから、この表示をしたうえで入所保留となった場合は、現時点では育児休業給付の審査に影響はないものと考えられます。

【まとめ】

保育所等での保育が開始されないことを理由とした育児休業給付金の支給対象期間の延長は、職場復帰を図るために保育所等の利用(入所)の申込みをしたものの入所できないなど、やむを得ず職場復帰ができない労働者を対象とした制度です。

追加された提出書類での注意点として、入所申込書の写し(すべてのページ)の提出が必要であることが挙げられます。市区町村によっては、提出済の書類の写しの交付をしていないことがあり、そのような市区町村では提出前コピーが必須と考えてよいです。そのため会社は、労働者より妊娠・出産の申出があったときの意向聴取(面談等)を行う際に、延長時の提出書類についても説明を行うなど、伝え忘れがないようにするとよいと考えられます。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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