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2025年9月17日

最低賃金改定による労使協定再締結の必要性

最低賃金改定

2025年8月4日に発表された「令和7年度地域別最低賃金額改定の目安について」では、過去最高の63円の引き上げが目安とされました。目安どおりであれば全国の過重平均額は、1,118円となります。新しい最低賃金は10月から順次適用される予定です。
当然ながら、改定後は最低賃金以上の時給(月給、日給においては時給換算額)を支払う必要があり、所定労働時間等に応じて時給換算額が瞬時にわからない日給や月給については特に注意が必要です。また、派遣元においては労使協定の再締結が必要となる可能性があります。

 

労使協定方式とは

派遣元において、過半数組合や過半数代表者と労使協定を締結して賃金等の待遇を決定するのが労使協定方式です。当該労使協定では「職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)」、或いは「賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)」等における一般賃金の値と同等以上になるように時給を決定しなければなりません。
※一般賃金とは、派遣先の事業所その他派遣就業の場所を含む地域における、派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者であって、同程度の能力及び経験を有する者の平均的な賃金の額です。

 

最低賃金改定による労使協定の確認事項

「基準値(0年)×地域指数」の値が最低賃金を下回る場合、これを最低賃金とし、能力・経験調整指数を乗じて一般賃金を算出します。
このため、現在締結している労使協定の「基準値(0年)×地域指数」が、改定後の最低賃金を下回っていないか確認しなければなりません。該当する場合には最低賃金の発効にあわせて、労使協定を締結しなおす必要があります。
なお、東京都で職業安定業務統計の小分類を使用している場合、一般事務員、看護助手等、39の職種で一般賃金が最低賃金を下回ります。

 

例)

東京都の最低賃金が1,226円になった場合
地域指数1.127 職業安定業務統計小分類 「3401 一般事務員」 基準値(0年)1,082円

0年 1年 2年 3年 5年 10年 20年
現行 1,220 1,415 1,516 1,549 1,622 1,823 2,187
引き上げ後 1,226 1,422 1,524 1,557 1,631 1,832 2,198

単位(円)

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。

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