HuApp MEDIA HR業界のお役立ち情報を発信中 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは

2025年11月7日

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)とは

日本の生産年齢人口(15~64 歳)の減少により、外国人労働者数が相対的に増加傾向にある現在、今後も外国人労働者を活用していくことが社会にとって重要な選択肢となっています。しかし、外国人は当然に言葉や文化が異なり、それに対応できる環境整備がされていないと、その違いから早期離職を招く場合があります。採用側の採用コスト、働き手側の就業機会のいずれも無制限ではありません。このため、外国人労働者を雇用するなら定着する環境の整備は重要といえます。今回紹介する人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)は、厚生労働省によれば「外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対し助成するもの」とされています。外国人を雇用し活用したいと考えているなら、申請を検討できるかもしれません。

 

【対象となる外国人の範囲】

特別永住者及び在留資格「外交」「公用」以外で、日本国籍を有しない方で雇用保険の被保険者である必要があります。留学生アルバイトは対象に含まれません。

 

【申請までの流れ】

➀就労環境整備計画書を作成し、就労環境整備計画期間(3か月以上1年以内)の初日から1か月前の日までに提出・都道府県労働局長の認定を受けます。

➁認定された計画書に基づき、就労環境整備措置の導入・実施をします。必須措置が2つ、選択措置が3つです。

就労環境整備措置 内容
必須 雇用労務責任者の選任 雇用労務責任者を事業所ごとに選任し、その選任した者の氏名を各事業所に掲示すること等により外国人労働者に周知していること。雇用労務責任者が就労環境整備計画期間において外国人労働者と1回以上の面談等を行い、その結果を書面により作成すること。
就業規則等の多言語化 就業規則等を多言語化し、就労環境整備計画期間に雇用する外国人労働者に周知すること。
選択 苦情・相談体制の整備 苦情・相談体制を新たに定め、その内容(利用方法等)を周知すること。外国人労働者の苦情又は相談に応じるものであること。
一時帰国のための休暇制度の整備 雇用する外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇(労基法第39条に定める有給休暇として与えられるものを除く)を取得できる制度を新たに定めること。1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できるものであること。

ハと二については、支給申請日において当該就労環境整備措置を継続して運用していることが必要です。

➂就労環境整備措置の実施日から起算して6か月経過する日までの期間の「外国人労働者離職率」を算定し、申請をします。外国人労働者の離職率が15%以下(外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、6か月経過後の外国人労働者離職者数が1人以下)であることが要件です。また、離職率算定期間末日まで継続して雇用している外国人労働者が1人以上いることも要件となっています。

 

【助成額】

必須2制度+選択1制度のため60万円~80万円が支給されます。

(1制度あたり20万円、上限80万円)

 

【まとめ】

外国人に長く働いてもらいたいけれどどうすればいいか分からないといった事業主にとっては、本助成金について確認すると、環境整備のため具体的にどのような取り組みを行うことが考えられるか知ることができる面があります。加えて、コストのかかる環境整備に対して助成金を受け取れるため、そのような事業主にはメリットがあると思われます。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

綿引 文生(わたびき ふみお)

早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。