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2020年9月14日

東京労働局2019年度指導監督状況について

東京労働局から「2019年度民間ビジネスに対する指導監督状況」が6月に公表されました。労働者派遣事業に関して、2041事業所に対し実施し1061件の文書指導が行われました。1事業所で複数の指導を受けていることもあるため、過半数の事業所で違反しているわけではありませんが、決して少なくはない件数です。

 

主な指導内容は以下の通りです

 

【派遣元事業主に対する指導内容】

●就業条件の明示がなされていない、あるいは明示の内容に不備がある。
●派遣元管理台帳の記載内容に不備がある。
●労働者派遣契約の内容に不備がある。
●派遣元事業主から派遣先へ通知する内容に不備がある。
●派遣労働者に対し、マージン率等の情報提供が正しく行われていない。

 

【派遣先に対する指導内容】

●派遣先管理台帳の記載内容に不備がある。
●労働者派遣契約の内容に不備がある。

 

定期に行われる指導監督では、各種帳票類の記載事項の点検が主となるため、主な指導事項も「内容に不備がある」が多くなります。「内容に不備がある」には2種類あり、1つは記載しなければならない項目そのものが抜け落ちているケース、もう1つは記載項目に対して適切ではない内容が記載されているケースです。労働者派遣法は改正の度に複雑化し帳票記載項目が追加され続けています。項目そのものの抜けを防ぐためには、労働者派遣事業向けの製品を導入することが対策になります。では、The Staff-Vを導入しているから帳票類は万全!と言えるかというと、指導監督の結果は必ずしもそうではないことを示しています。項目に対して適切に記載することまでサポートする製品は存在しないため、営業担当者が派遣先から十分な聞き取りを行い、不備のない帳票作成が求められています。

今年度も例年通り定期指導監督は実施されています。特に今年は改正労働者派遣法が施行されているため、改正に係る事項は重点項目となることが予想されます。今年から指導監督を受ける際に提出する書類に「派遣先から提供を受ける待遇に関する情報」が追加されています。これは、契約の都度提供を受けなければならないため、抵触日通知と同じように派遣先に日頃から協力していただかなければなりません。また、指導監督時に提出する「自主点検チェックリスト」も待遇に関する説明の実施状況に関して詳しく記載させるものとなっております。改正法に基づく契約更新の際は、改めて対応できていることを確認してみてください。

 

 

 

社会保険労務士法人ユアサイド

工藤 あさみ(くどう あさみ)

早稲田大学 第二文学部卒業後、平成27年社会保険労務士法人ユアサイド入職。平成29年社労士試験合格、登録。派遣会社での労務管理経験を活かし、労務相談等を行う。「親しみのある社労士」を目指して日々邁進中。

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