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2026年1月28日
グループ企業内派遣の8割規制について
労働者派遣には、労働力を需要する側(求人を行う会社)と労働力を供給する側(求職者)との間に立って両者を円滑に結びつけるように調整するという役割があり、特定の派遣先に限ってのみ労働者を派遣することを禁止(いわゆる「専ら派遣」の禁止)しています。派遣元がグループ内の企業ばかりに労働者派遣を行うことは、企業内の第二人事部的な位置づけとなってしまい、労働者派遣事業制度の趣旨に鑑みて適切とはいえません。「グループ内派遣の8割規制」は、専ら派遣禁止の実効性を高めるため、2012年派遣法改正により導入されました。今回は、グループ内派遣の8割規制について解説していきます。
1.関係派遣先派遣割合報告書の提出
常用労働者の代替を防止するため、派遣元がグループ企業(関係派遣先)へ派遣する労働者の割合を全派遣労働者の総労働時間の8割以下とするように制限されており、派遣元は「関係派遣先派遣割合報告書」を管轄の労働局へ経由して厚生労働大臣へ報告する必要があります。なお、報告書の提出期限は、事業年度経過後3か月以内です。
2.派遣先割合の計算方法
60歳以上の定年退職者(*)を除いた派遣労働者の関係派遣先での派遣就業に係る総労働時間を、派遣元で雇用する全派遣労働者の派遣就業に係る総労働時間で除することによって算出します。
(*)60歳以上の定年退職者は、60歳以上で定年退職した者で、グループ企業以外で定年退職した者を含みます。
3.関係派遣先の範囲
①連結財務諸表を作成している場合は、派遣元の親会社とその連結子会社が8割規制の対象となります。
②連結財務諸表を作成していない場合、派遣元の親会社等とその子会社等が8割規制の対象となります。なお、親会社等とは、以下(1)~(3)のいずれかに該当する場合です。
(1)派遣元の議決権の過半数を所有している。
(2)派遣元の資本金の過半数を出資している。
(3)派遣元の事業の方針の決定に関して、上記(1)(2)と同等以上の支配力を有すると認められる者。
4.グループ内派遣の8割規制に違反した場
8割規制に違反があった場合は、厚生労働大臣による指導・助言が行われ、改善がみられない場合には、厚生労働大臣は、必要な措置をとるべきことを指示することができるとされています。それでもなお改善がみなれない場合には、派遣許可の取り消し対象となりますので、派遣元は、規制に抵触しないよう適切に運用を行ってください。
社会保険労務士法人ユアサイド
綿引 文生(わたびき ふみお)
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。