顔認証による出退勤時間の打刻で正確かつ迅速な情報把握が可能に
人材不足の解消に寄与する現場負担の軽減に貢献する「DigiFaceAI」「DigiSheet」

協和機工株式会社 様

課題

現場に派遣する職人の勤怠管理が手作業で現場の負担が大きい

勤怠の状況が迅速に把握できず、協力会社との調整に時間がかかる

コロナ禍において厳格な出退勤管理の環境づくりが必要に

解決策

DigiFaceAIによる顔認証の打刻で正確かつ迅速な情報収集が可能に

現場責任者の作業を事務側にて分散するなど全体的な業務の効率化を実現

蓄積されたデータを活用することで工事の進捗状況を把握するなどデータ活用が活発に

導入効果

プラント設備の定期修理工事を手掛ける協和機工株式会社では、派遣先のプラント現場で手作業による出退勤管理を行っていたが、現場責任者のチェック工数の負担が大きく、手戻りも多く発生していたことから、IT技術を活用して現場に負担を強いることなく打刻できる顔認証出退勤打刻システム「DigiFaceAI」および勤怠業務効率化サービス「DigiSheet」を活用し、正確な勤怠管理基盤を整備。スムーズな打刻と正確な勤怠状況の把握によって管理の効率化を実現。

導入サービス

製油所や化学工場に代表されるプラント設備のメンテナンスなどの定期修理工事を手掛ける協和機工株式会社では、手作業で行ってきた現場作業者の出退勤管理から脱却し、株式会社ヒューアップテクノロジーが提供する顔認証による正確な出退勤打刻が可能な「DigiFaceAI」および打刻情報を集約して出退勤管理を効率化できる「DigiSheet」を導入しています。

現場に派遣した職人の勤怠管理、手作業によるチェックが大きな負担に

山口県周南市を中心に神奈川や三重、大阪など日本各地の製油所や石油化学工場において、熱交換機の開放点検や据え付け、撤去、塔槽類の清掃、触媒入れ替えといった定期修理工事を手掛けている協和機工株式会社。1975年の設立以来多くの顧客を支援してきた豊富な経験と実績を武器に、定期点検・修理はもちろん、突発工事、予知保全の提案、現状の能力診断など、一貫した工事・技術の提案を行っています。最大120人体制という機動力を強みとしており、工事の効率化に役立つ日本未導入の複雑な海外特殊工具も駆使しながら、プラント稼働の安定化に向けてさまざまなサービスを提供。また、機械を動かすために利用するエア漏れを特定することでエネルギーロス軽減に貢献するなど、企業が取り組むカーボンニュートラルに寄与するサービスも提供しています。

そんな同社が長年課題として抱えていたのが、現場に派遣する職人の出退勤管理でした。「工事の規模が大きくなれば、外部パートナーに協力を仰いで職人を派遣してもらうことも。その場合、派遣されてきた職人の出勤状況を現場の責任者がチェックしますが、100名を超える規模になると初めて現場に来る方も多く、出退勤の把握だけでも多くの時間と手間がかかっていたのです」と代表取締役 三家本 輝男氏は当時を振り返ります。

現場の負担だけでなく、締め日が近くなれば出勤簿のチェックや給与支払いのデータ作成を行う事務側の負担も大きなものとなっていました。「現場では大人数の出退勤をチェックするため、実際にきていない人が出勤扱いになっていたり、その逆もあったりなど、色々な手戻りも発生しやすい。残業含めた勤務時間や金額といった数字の調整も含めて、事務処理も多くの負担が生じていたのです」と三家本氏は課題を吐露します。

そんな状況下で世界的なパンデミックが発生したことで、現場に誰が赴いているのかを正確に把握するといった出退勤管理の厳格化や検温チェック含めた環境整備が求められることに。そこで以前から課題として顕在化していた出退勤記録の管理をシステム化するための仕組みづくりに取り掛かることになったのです。

現場に適した顔認証による迅速な打刻処理と
勤怠管理の仕組みが連携できる点が決め手に

紙による出勤簿のアナログ運用から脱却すべく、当初はICカードやスマートフォンのアプリで打刻できる仕組みを検討したものの、他人にデバイスを貸与することによる不正が防げず、紛失などによる事務作業の負担増が懸念されました。そこで、当時話題となっていたAI技術を活用した生体認証による仕組みに注目した三家本氏。そこで目をつけたのが、手袋などを装着していても負担なく認証できる、顔認証による打刻が可能なDigiFaceAIでした。「手袋着用といった現場の特性上、指紋認証は運用上厳しい。虹彩による認証は非常に高額な専用機器が必要で、コスト面で導入が難しいなか、カメラ機能を持つタブレットという汎用的な機器で顔による認証が可能なDigiFaceAIに注目したのです」と三家本氏。

また、DigiFaceAIと連携できる勤怠管理システムのDigiSheetの存在もポイントでした。事前にシフト登録しておくことで打刻時間をもとに働いた時間がきちんと管理でき、協力会社との情報連携も容易になると判断。「誰がどこの現場で何時間働いているのかが迅速に把握できますし、現場で出勤したかどうかの確認作業の負担も大きく軽減できる。プラントなど過酷な現場環境であっても、正確な出退勤時間の打刻が可能になると考えたのです」と三家本氏は語ります。

ただしコロナ禍だったこともあり、マスクをした状態で迅速に打刻できるかどうかの不安はあったと言います。そこで、実際に中古のタブレットを利用してテストを実施したところ、マスクをつけていても素早く顔を識別して打刻できることが分かったのです。「出退勤時には100名を超える職人が一斉に並ぶため、時間がかかる仕組みは避けたかった。その点、さほどスペックの高くない中古タブレットでも現場に負担をかけずに素早く認証できたのは大きい。マスク着用時でもうまく認証できるなど、運用に十分耐えうる仕組みだと判断しました」と三家本氏。

もともと人材派遣業界向けパッケージであるDigiSheetながら、自社の運用に合わせた柔軟なカスタマイズが可能な点も評価しました。「導入支援で我々の勤務形態などに合わせて設定変更してもらえるなど、ベンダーの支援体制という視点でも安心感が得られたのです」。DigiFaceAIの画面もシンプルなボタン操作が可能で、ITに詳しくない職人でも迷わせないような設定変更への柔軟な対応が可能な点が大きな決め手となったのです。

結果として、現場での正確かつ迅速な打刻のための打刻できる顔認証出退勤打刻システム「DigiFaceAI」および勤怠業務効率化サービス「DigiSheet」が採用されることになったのです。

現場の負担軽減と情報精度の向上で業務負担の軽減を実現

現在は、累計で500名ほどの顔情報がDigiFaceAIに登録されており、作業名簿作成時に職人の顔写真を協力会社に送付してもらい、事務側で事前登録を実施します。職人はプラントに出勤したタイミングで休憩所などに設置されたタブレットのカメラに顔を写して打刻処理を行います。また、職人のマスター情報ととともに、現場で働く予定の勤務時間をDigiSheetに登録しておくことで、日々数回のバッチ処理で勤務状況の迅速な把握が事務側でも可能となっています。そして締めのタイミングで支払い処理や元請けへの請求データとして活用すべく、DigiSheet内のデータをCSVにて出力する運用です。

実際の現場では、事前登録していない職人が当日現場にやってくることもありますが、DigiFaceAIに顔情報が登録されていない場合はその場で認証できず、過去に顔情報を登録した職人であっても、本来予定のない現場に来た場合はDigiSheetで迅速に把握できるため、協力会社との調整もしやすくなっている状況です。「間違いが発生しないことで出戻りがなくなるだけでなく、きちんと出退勤した時間が立証できるのは職人にとってもいいことのはず」。厳格な労働時間管理が必要な世の中のニーズにも対応できるなど、働き方改革の動きにも適合していけるようになったと評価します。

事務側では、出退勤ボタンの押し間違いや休憩時間のズレなど実際の勤務状態に合わせてDigiSheetでの微調整が日々発生することになりますが、現場責任者の負担をうまく事務側でシェアできるようになったことは大きいと言います。午前午後2回の休憩時間といった建設業ならではの働き方にも、DigiSheet側で柔軟に対応できている状況です。「事前登録など事務側の仕事は増えていますが、現場責任者はお昼休みの時間を割いて行っていた職人の勤務記録チェックがなくなり、負担は大きく軽減できています。職人を育てるにも時間がかかる建設業は、今は深刻な人手不足です。現場負担を減らしいていくことが重要で、うまく事務と仕事が分担できるようになったのはとても大きい」と三家本氏は高く評価します。

IT技術を駆使してデジタル化を推進したことで、蓄積されたデータが生かせるようになったことも効果の1つに挙げています。「複数現場の勤務状況が瞬時に把握できるため、足りない現場に人を回すといったことも可能です。毎年発生するような現場であれば、職人の数と勤怠実績から工事が8割ほど終わっているといった予測も立てやすい。統計的なデータ活用という意味でもデジタル化できた効果は大きい」と三家本氏。また、本人確認や勤務状況が正確に把握できるようになったことで、労働安全の面からも助かっていると評価します。「勤務予定のない人が現場で作業できてしまう状況下では、万一怪我などがあった場合は書類が発行できないといった事態も起こり得ます。そんなリスクが回避できるようになったことは当初想定していなかった副産物です」と評価します。

DigiFaceAIについては、顔認証精度の高さを評価します。「数ヶ月以内に撮影した顔写真を送ってもらいますが、なかには数年前に撮られたであろう写真を送ってくる人も。兄弟で似たような写真に見えるものもありますが、AI技術が優れているのか、しっかり本人であることが認証できています。これまで認証で弾かれたのはほんの数件で、チューニングも含めて高い認識精度に驚きを隠せません」。派遣人数が多い現場では、出退勤時に顔認証で混み合うことも想定されますが、汎用的なタブレットを増やすだけで対応できるなど、その発展性の高さも評価の1つに挙げています。

顔認証のさらなる円滑化とデータ分析のための基盤整備に期待

すでに運用して3年ほどが経過しており、現場での顔認証による打刻や勤怠管理システムの運用は安定しています。引き続き現場の運用を継続していきながら、多くの職人が必要な現場では、顔認証可能なタブレットを増やして対応するといったことにも柔軟に実施していく予定です。また、蓄積された情報を利用し、協力会社や現場ごとの傾向を見るといったデータ活用のための環境整備は費用面で当初断念しましたが、いずれはシステム連携サービスのAppTransformerなどを活用して分析基盤との連携も行っていきたいと意欲的です。

建設業界はデジタル化が十分に進んでいないことからも、ヒューアップテクノロジーが提供するソリューションをさらに活用しながら、業務の効率化や人手不足解消につながるDX推進を強力に推し進めていきたいと今後について三家本氏に語っていただきました。