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カスハラ防止措置が義務化されます
令和8年10月1日よりすべての企業(中小企業や個人事業主を含む)に対し、カスタマーハラスメント(以下「カスハラ」という)対策の防止措置が義務付けされます。事業主が行わなければならない措置は以下となっています。
1) 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発
2) 労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
3) カスハラが発生した後の事後の迅速かつ適切な対応
4) 職場におけるカスハラへの対応の実効性を確保するために必要な抑止のための措置
5) 上記1~4の措置と合わせて必要な措置
カスハラとは、職場において行われる顧客ならびに取引先等(以下「顧客等」という)からの言動であって、業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、労働者の就業環境が害されるものをいいます。労働者とは、いわゆる正社員のみならず、パートタイム労働者、契約社員等いわゆる非正規労働者も含みます。
次に、具体的にどのような対策が必要なのか整理します。
1)方針の明確化、周知・啓発については、カスハラを許容しないこと、カスハラに対しては毅然とした態度で対応すること、労働者を守ることといった企業としての基本姿勢を明確にし、管理監督者を含む労働者に周知することが必要です。また、カスハラに該当する行為や発生時の対応について、社内規程やマニュアルに具体的に定めておく必要があります。
2)相談体制の整備に関しては企業内にて相談窓口をあらかじめ定め、労働者に周知します。その際、相談窓口の対応者が労働者からの相談の内容や状況に応じ適切な対応が出来るようにしておきます。
3)事後の適切な対応については周囲の労働者から聴取を行ったり、録音・録画等の客観的な証拠を確認したりするなどの事実関係を正確に確認します。
4)カスハラ抑止のための措置としては、悪質なカスハラに対しての対処の方針をあらかじめ定め、管理監督者を含む労働者に周知します。特に犯罪に該当し得る悪質なものに対しては、警察へ通報することも方法の一つです。
5)その他、相談者のプライバシーを保護し、必要な措置を講ずるために予め相談窓口の担当者に必要な研修を行う、労働者が事業主の雇用管理上必要な措置に協力したことによって解雇等の不利益な取り扱いを受けないことも必要になってきます。
そもそもカスハラが起きないようにするため、上記の措置に加え事業主は予め以下の取り組みを行うことが望ましいとされています。
1)労働者が自社の商品やサービスを理解し、研修等を行うことによって顧客満足度の向上をはかること
→カスハラが発生しないために商品・サービス等に関する知識を深め、適切な説明や対応ができるようにしておきます。
2)消費者心理や障害特性について学び、顧客等の理解を深めること
→様々な顧客の特性を知っておき、不当な差別的取扱いを禁止します。
単にカスハラを禁止するだけでなく、企業があらかじめルールや相談体制を整え、実際に問題が発生した場合に適切に対応できる体制を整備することが求められています。令和8年10月1日の施行に向けて、まずは現在の社内ルールや相談体制を確認し、整備を進めておきましょう。
社会保険労務士法人ユアサイド
綿引 文生(わたびき ふみお)
早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、平成19年に社会保険労務士試験に合格。平成21年社会保険労務士法人ユアサイドに入社。令和3年11月パートナー社員就任。派遣会社を含む幅広い業種の企業をこれまでに100社以上担当。人の強みを生かす企業経営の一助となるとの想いで、日々労務相談や手続きに対応している。